HACCPの考え方

HACCPに沿った衛生管理とは(私見)

 『HACCPとは』と検索すると、HACCPの定義が書かれたページが多数出てきます.

 一般的な定義はそちらをごらんいただくとして、ここからは、私が考える『HACCPに沿った衛生管理』の方法について書いてみます.

 私が考える衛生管理方法は、いかに危害要因(=リスク)をコントロールするかに帰結します(当たり前ですが・・・(汗)).

 以下が、その考え方です.

  ◆ 『何』の危害要因を・・・
  ◆ 『いつ』のタイミングで・・・
  ◆  どんな『方法』で・・・
  ◆ 『どうしたい』のか・・・ 

 英語文法の「5W1H」に似ていますね.

 考え方が決まったら・・・

  ◆ 上の4つと、日常業務での出来事を『見える化』します.

 ちなみに農水省では、『HACCPとは?』と題して、以下のように記述しています.

  「原材料の受入れから最終製品までの各工程ごとに、微生物による汚染、
   金属の混入などの危害要因を分析危害要因分析Hazard Anaiysis)
   した上で、危害の防止につながる特に重要な工程重要管理点
   Critical Control Point)継続的に監視・記録する工程管理システムで
   す。」

 なお、農水省のホームページには、挿絵等による説明がありますので、参考になると思います.

管理方法①(『 何』の危害要因を・・・ )

 「危害要因」というと、ノロウイルスなどの食中毒菌が頭に浮かぶと思います.

 しかし、それだけではないんです!

 コバエなどの害虫やホッチキスの芯、アレルギー物質や放射能まで、口に入れることで健康に影響するものは全て「危害要因」になります.

 もっとも、HACCPでは上記全てを「危害要因」とするわけではなく、健康被害の重大さなどを考慮したうえで、それぞれの食材・原材料に係る危害要因を以下の3つに大別します

 
 ◆ 生物的危害要因  ◆ 科学的危害要因  ◆ 物理的危害要因
 ・非芽胞菌  ・毒素、カビ毒  ・金属、ガラス
 ・芽胞菌  ・重金属  ・硬質異物
 ・寄生虫  ・残留農薬  ・放射能物質
 ・原虫  ・アレルギー物質
 ・ウイルス

 なお、上記に記載した、コバエなどの昆虫や髪の毛などの混入は、精神上の忌避要因になります.
  (生めん類のHACCPの考え方を取り入れた衛生管理のための手引書などに記載あり)

 また、病原微生物等の付着の可能性がありますが、HACCPにおける「危害要因」の重大度として考える場合、それほど重大な危害とはみなされず、一般衛生管理プログラム(PRP)として対処することになります.

管理方法②(『 いつ』のタイミングで・・・)

 それでは、危害要因に対し、いつの段階で対処すればよいのでしょうか?

 農家さんから直接仕入れた ”キャベツ” を例にとってみます.

 とれたてのキャベツは、普通、畑の土がついていますが、土の中は病原微生物がたくさんいます.

 そのものは、調理段階の水洗いの工程で、取り除くことができそうです.

 それでは、病原微生物はどのタイミングでやっつけますか? 

 さらに、農家さんが使った農薬が残っていたり、隣の畑で別の農家さんが散布した農薬がかかっている可能性もあります.

 キャベツが農薬を吸収していれば、水洗いで除去できず、食材として使えないことも考えられます.

 食材の受入れ段階で対応するのか、製造・調理の段階で除去できるのか、あらかじめ決めておくする必要があるといえそうです・・・

管理方法③(どんな『方法』で・・・)

 危害要因は、必ず取り除かなければなりません。食品衛生法でも、人の健康を害するおそれのあるものは、製造販売してはならないことになっています(改正食品衛生法第6条各号).

 
最も確実・効果的で、かつ、費用と手数が少ない方法で除去できれば最高ですね!

 
調理・加工時点で 洗い流す” のか、熱を加える” のか、"空にする"のか、"辛くする"のか、ほかにも様々な方法があります.

 しかも、最適な方法は、食材によっても、調理・加工方法によっても、販売方法によっても異なるので、方法の選択に頭を悩ませるかもしれません・・・

 

 

管理方法④(『どうしたい』のか・・・)


 『どうしたいのか』・・・

 

 もちろん、「危害要因を取り除きたいんです!!」だと思います.

 

 変なことを聞かないで! と思われるかもしれませんが・・・(汗)

 

 もっとも、危害要因は ”1つ” ではありません!!

 

 ということは、『どうしたいのか』もさまざまあるということです.

   『つけない、ふやさない、やっつける』

 死滅させたいのか、除去したいのか、付着させないのか、など危害要因によって効果的な『どうしたいのか』を決めることが、HACCPでは重要視されます.


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